害虫と駆除法/防腐防蟻処理

DOT(ホウ酸塩防腐防蟻剤)は、無臭の白色粉末で、粉末のまま、あるいは泡や水溶液として散布され、木材の生物劣化を予防や治療する。一般的な害虫駆除では、粉末又は水溶液が使われ、個々の害虫の処理は、下の表を参考にしてください。

天然ホウ素化合物の駆除効果と実績

ホウ酸塩は、微生物や害虫に対する静生物剤として作用することから、安全な制御方法として広く使用されています。

  • 菌類、藻類、バクテリア、木材腐朽菌
  • シロアリ、アリ、カーペンターアンツ(オオアリの仲し 間)、チャタテムシ、など
  • ゴキブリ、ノミ、ダニ、ハサミムシ、シミ(シミ目か)、カマドウマ(カマドコオロギ)
  • スズメバチ、ハエ、ガ、など

害虫の処理方法

害虫・
劣化生物
DOT
溶液濃度
処理方法
菌 類 10%
又は、15%
 溶液又は泡を1回散布する。
 腐朽が進んでいる場合は、1~24時間間隔で、2回散布するか、根本部分にDOT溶液に注入する。
甲 虫 10%
又は、15%
 水溶液の泡を1回散布する
アメリカ
地下シロアリ
10%
又は、15%
 10%:治療処理では溶液を1~24時間間隔で2回散布
 15%:溶液を1回散布
 木材中に巣が見つかったらドリルで穴を開け、溶液を直接注入する。
イエシロアリ 15%  溶液又は、泡を6~24時間間隔で2回散布
 木材中に巣が見つかったらドリルで穴を開け、溶液を直接注入する。
乾材シロアリ 10%
又は、15%
 10%:治療処理では水溶液を1~24時間間隔で2回散布
 15%:溶液を1回散布
オオアリ 15%  木材に溶液を1回散布すれば、内部に巣を作ることはなくなる。
 壁の空洞やオオアリの侵入口・通路に粉を散布すれば制御できる
  • 浸透濃度の確認
     処理作業のホウ酸塩水溶液濃度は、重量体積パーセント「%」で表示した場合、下記の計算式で木材に浸透した濃度は「kg/m3 BAE」が算定され、国内外の基準などと照合できます。

    {塗布dot水量×dot水濃度(%)}÷処理木材体積

    ※重量パーセント「%」の場合は、{塗布dot水重量×dot水濃度(%)}÷処理木材体積

DOTの害虫への作用プロセス

 昆虫は体内から毒素を除去する能力がないため、摂食したDOTは体内に蓄積し、徐効性の食毒として作用し、木材劣化生物に対しても一般害虫同様致死的な効果をもたらします。
 DOT溶液が木材に塗布されると、木材の条件(樹種・含水率によりか一定の深さに浸透され、分解することなく木材内にとどまり、木材劣化生物やそれらの幼虫が処理剤を摂食することで体内にDOTが蓄積していきます。

  • シロアリ
       処理木材を摂食するとシロアリの体内にDOTが蓄積されます。コロニーに戻って他のシロアリに触れることで食料が職アリから兵隊アリ、繁殖アリへと渡るとDOTも同時に渡され、DOTの影響で伝えたシロアリの動きが鈍くなりやがて食べることができなくなって死ぬことになります。コロニーの他のアリは死体や死んだ場所を避けるようになり、DOT処理した木材は、シロアリにとって最高級の食べ物ではないため、食糧調達中のシロアリは処理材を避けるようになります。
  • 食材性甲虫類の幼虫
       処理木材の表面に甲虫が産みつけた卵は孵化率が低くなります。卵から孵った幼虫もDOT処理した木材の摂食を試みまもなく死に、甲虫に荒らされた木材では幼虫が蛹化するためには木材の表面に向かって穴を掘り進むさいDOT処理材を摂食するため死ぬことになり駆除することができます。
  • オオアリ
       木材を食い荒らす事はありませんが巣を作るため木材に穴を開けます。DOT処理した木材はオオアリに不快らしく穴を掘ることはありません。DOT処理しただけではオオアリの侵入を阻止したり殺すことはできませんが、侵入するオオアリに対し木材の巣穴や水道配管などの周囲にDOT粉末を散布しておけばオオアリに付着したDOTを接触についた粉末を口に入れるため駆除することができます。
  • 腐朽菌
       湿気のある木材に侵入し急速に木材を破壊します。菌によっては地面や水漏れした部分から乾燥した木材に水分を運び木材をコロニー化するものもあります。DOTは腐朽菌に接すると高度の毒性を示し、木材の腐朽菌を殺すと共に腐朽菌の侵入を阻止します。
  • その他
       DOTはゴキブリ、アリ、シミ、ハサミムシ、コオロギなどの一般害虫に対しても有効で、DOTをこれらの害虫の生息場所に直接噴霧するか溶液を木材の割れ目などに注入します。害虫が処理地域をはい回ると体に小さな粒子が付着し、グルーミングの習性により体内に取り込まれ駆除することができます。