#1 カマドウマの駆除

地下室のカマドウマ(※1)駆除の効果は期待以上

地下室(半地下)に住み着くカマドウマに悩まされ、梁や扉にホウ酸塩(DOT)水溶液を塗布し、どの程度駆除できるか試みました。
 大昔河川だった敷地に建つ築20年のログハウスでは地下室(半地下80m2)に繁殖するカマドウマが、1・2階の住居部分まで徘徊し、特に水廻りの浴室や台所に数多く居座わり、バルサンを焚いても半年も効果なく再び虫が発生し、長年カマドウマと同居するのがあたりまえとあきらめていましたが、ホウ酸塩のシロアリ駆除以外の効果を知り、試しに塗ることにしました。


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  • 2010年10月
     半地下室:車庫の状況
    1. 半地下室には数えきれないほど多くのカマドウマが住み付き、糞も木の扉や梁、コンクリートの壁などに付着している。
    車庫の扉に無数のカマドウマが群がる 扉上の針にもに大量のカマドウマが群がる 駆除前のカマドウマの集団

    ※車庫1部屋に200匹以上は確認されており、木材やコンクリートに付いた虫の糞がシミとなり除去できない。

  • 2011年6月26日
      ホウ酸塩水溶液(12.5%)塗布 ※商品名:ティンボアPCO
    1. 地下室面積の22%にあたる3.5x5mの車庫部分の扉と梁に塗布、扉はカマドウマ糞が桧板に付着していため4回水洗いしました。
    カマドウマの駆除に車庫の扉にホウ酸塩塗布 カマドウマ駆除にホウ酸塩水溶液を塗布した半地下室の平面
  • 2011年7月16日
     塗布3週間後、カマドウマが1/20以下に減少
    1. カマドウマは塗布以外の部分へ逃げ込んでいると予想していましたが、なぜだか他の半地下部分のカマドウマも車庫同様数が減っていました。
    2. 2日の滞在期間中、住居部分で見かけたカマドウマは1階の広間で1匹、浴室で2匹、2階は0匹で、「ホウ酸塩」の駆除効果を間近で確認することができました。
    3. 小さな子供のカマドウマの姿は確認できなかった。
    ホウ酸塩塗布後の車庫の扉廻り 扉廻りのカマドウマの数が減少
  • 2011年8月06日
    塗布6週間後、建物から離れた場所のカマドウマもいなくなった
    1. 地下室のカマドウマは若干数が減っており、小さなカマドウマの姿も確認できなかった。
    2. 建物から5m離れた水道メーターBOX内には一年中小さなカマドウマが20匹程度いたが、一匹もいなくなった。
    塗布6週間後の車庫扉廻り カマドウマが退散した水道メーターBOX内
  • 2011年9月10日
     地下室のカマドウマは、増えていたが1階でカマドウマが確認できなかった。
  • 2011年11月5日
     塗布処理して4ヶ月になり塗布したDOTが木材内部に浸透し、表面が薄まったせいか、1階の浴室や台所で7~8匹のカマドウマが確認された。
  • 2011年11月13日
     販売元と相談し、以下の方法で駆除処理を試すことにした
    1. オーストラリアで販売されている小麦粉とホウ酸塩を混ぜたホウサンダンゴを作り、出入口付近等数ヶ所に仕掛ける。
    2. 2回目の塗布は、添加剤を混ぜずに15%dot処理液を調合し塗布し、木材内部へのホウサン塩の浸透を遅らせる事や、表面にDOTの白い粉が残る事に期待。
    3. 塗布しない部分で見つけたカマドウマに直接ホウ酸スプレーをかけて様子を見る。
    ホウ酸塩ダンゴをペッドトルキャップに詰め込む ホウ酸塩ダンゴを設置する車庫部分 ホウ酸塩ダンゴの設置
    • ホウ酸塩ダンゴはペットボトルのキャップに盛りつけ製作
    • カマドウマに直接ホウ酸スプレー
  • 2012年4月29日
     冬の間カマドウマの活動も減ったせいか、水道メーター内に1匹、車庫の扉付近に3匹、計4匹の幼虫、又、浴槽内には5匹の死骸がみつかり、一応の効果を確認。
  • 2012年7月21日
     5匹のカマドウマを車庫で確認。新たに地下の一部の区画の梁に15%DOT水溶液を塗布。
  • 2012年8月12日
     5匹のカマドウマを車庫で確認。
  • 2012年9月2日
     幼虫を含む20匹くらいのカマドウマを車庫で確認。車庫の梁と扉部分に15%DOT水溶液を刷毛で塗布。
  • 2012年10月1日
     昨年と比べ暑かったせいか地下室のカマドウマが50匹前後に増えていたので、DOTスプレーを直接カマドウマに吹付け様子を見ることにした。
     次の対策として、キュウリを1昼夜DOT塩水溶液にドブ漬けにしたスライスと、DOT粉をふりかけたスライスを小さなトレーにのせ設置してみようと思っています。
  • 2012年11月10日
     先月より地下室のカマドウマ幼虫がさらに増えていたので、DOTスプレーで地下室全ての梁を吹付け、キュウリを1昼夜DOT水にドブ漬けにしたスライスを小さなトレーにのせ40箇所設置。
  • 2013年5月18日
     DOT水溶液漬けのきゅうりスライスの効果で地下室に3匹のカマドウマを確認。
     カマドウマが20匹以上増えるまで、きゅうりスライスを追加する時期を待つことにします。
  • 2013年6月8日
     地下室のカマドウマは確認できなかった。
  • 2013年7月8日
     地下室に3匹1階の台所と浴室に2匹のカマドウマを確認。
  • 2013年11月6日
     昨年同様、スライスしたキュウリを1昼夜DOT水溶液にドブ漬けにして小さなトレーにのせ約40箇所設置。
  • 2014年4月23日
     地下室にカマドウマは1匹も見あたらず、1階台所シンクに5匹の死骸を確認。
  • 2014年5月23日
     地下室でカマドウマ3匹確認。
  • 2014年6月20日
     地下室でカマドウマ1匹確認。
  • 2014年9月23日
     地下室のカマドウマが20匹ほどに増えたためキュウリスライスを作り30箇所設置
    【キュウリスライスの作成から設置】
    1)キュウリをスライス → 2)アルミの容器に入れDOTに水溶液一晩漬け置き → 3)アルミカップにキュウリを入れる  → 4)残りのDOT水溶液をスポイトで加える  → 5)1部屋あたり5~6箇所を目安に設置
    キュウリのスライス→ ホウ酸塩水溶液に漬けたキュウリ→ キュウリを入れたアルミカップ→ 余ったホウ酸塩水溶液をアルミカップに入れる→ アルミカップの設置
  • 2015年5月17日
     地下室に5匹のカマドウマ、1階浴室に3匹の市外を確認。
     → 毎年10-11月にDOT水溶液漬けキュウリスライスの設置することで駆除効果を確信
  • 2016年10月8日
     今年の秋は雨が多く、9月初旬に地下室で10匹程度しか見かけなかったのに、台風が過ぎ去った10月6日には100匹以上のカマドウマを地下の扉周りの駐車所などで確認しました。
     駆除をはじめて5年の間、こんなに大量発生したことはなく、雨が多かった今年の秋は土中で生まれた幼虫が雨のために建物に逃げ込んできたと思われ、扉周りに多く成虫は数匹程度しか確認できませんでした。
     とりあえず6年前と同じ車庫とその奥の物置の2部屋の梁や扉にホウ酸塩を塗布しておきました。
  • 2016年11月5日
     先月よりカマドウマの幼虫が増たため、毎年行う「キュウリスライス」の設置に、キュウリスライス+DOT水溶液を入れたアルミ容器を4か所ほど加え、来春のカマドウマ駆除状況に期待することにしました。
  • カマドウマの駆除2017年5月11日
     ほとんどのカマドウマの幼虫は死滅していましたが、生き残りか新たに外部から入ってきたのか、20匹ほどの幼虫を地下室で確認しました。
     又、1階の台所に置いてあったプラスチック容器の中には、10匹ほどのカマドウマの死骸が入っており、今後のカマドウマ駆除対策の参考になります。
  • 2022年11月13日
     10月の初めには半地下で数匹のカマドウマを見かけたが、11月の初めには過去10年間で最高の数の幼虫が新たに侵入していため、半地下の駐車場の木部にホウ酸水を塗布しました。
  •  来年の対策として幼虫が侵入する前の10月初旬に、半地下の扉廻りの木部にホウ酸水を塗布し、床にはDOT水を染み込ませた角材(堀込み溝付き)を設置し駆除することを考えています。

(※1)カマドウマは、便所コオロギ、オカマコウロギ、カマドコウロギ、シケ虫などと呼ばれ、不快害虫として扱われています。

【経過や結果と今後の退治対策など】

  • 塗布以外の部分で、ホウ酸塩の駆除効果があったことは、
    1)カマドウマが移動し車庫でホウ酸塩に接触し、静生物剤効果が働いた。
    2)DOTに接触したカマドウマが巣に帰り糞を他のカマドウマが食べたり接触し、静生物剤(Biostat)効果が働いた。などが考えられ、又、カマドウマの幼虫が少なくなったことは、ホウ酸塩の成長を停止させる効果が働き、幼虫を生むことができなかったことが考えられる。
  • 「ティンボアPCO」の塗布は、地下室の1/4程度の車庫部分しか塗布しなかったため、地下室にまだ生息しています。今後塗布部分を増やしカマドウマの100%退治を目指し、これからも追跡調査を掲載していきます。
  • カマドウマの駆除でコケやカビなどカマドウマが食ってくれていたものを、ホウ酸塩の菌類や藻類、バクテリアへの効果に頼ることになり、匂いや目視で発生状況を検証していきます。
  • DOTは木材内部へ浸透していくため表面の濃度がうすまり、カマドウマの再発生時期が塗り増しの時期を見守ることになる。
  • カマドウマが数10匹程度だが、再確認される原因と対策
    1. 木材内部の浸透が以外にも早く、カマドウマがホウ酸塩処理剤に接触しなくなった
      ※シロアリとは異なり木材を食わないカマドウマは、手足に付いたホウ酸塩を口に運ぶことで代謝を制御し、細胞の成長を停止し駆除するため
    2. 大昔河川であった敷地の周辺に大量のカマドウマが繁殖し、他のカマドウマ一家が入り込んだ?
    3. 雨の多い日の後は外部からの進入が多く、入り口付近の部屋で確認される。
    4. 卵から孵化した幼虫が生まれる時期に、新たにカマドウマが建物に侵入
[対策] カマドウマの駆除
    1. 年に1回は、キュウリスライスをつくり設置する
      ※現在は、豆腐の容器に入れたバナナの皮や野菜くずにdotスプレーをかけたものを要所数か所に設置し、野菜が乾燥するため毎月交換
    2. カマドウマを見かけたら、殺虫剤を使用せず、DOTスプレーを直接カマドウマに噴霧
      ※特に木材にも塗布されるような位置で噴霧
    3. カマドウマを駆除しても、この地域では10~11月ごろに新たに生まれたカマドウマが地中の巣から建物に侵入してくるため、進入路の木部を中心にdot水を塗布
      ※特に天気の良い日が続いた場合には地中の幼虫の生存率が高くなり大量発生するようです
      ※カマドウマの産卵は不定期で繁殖時期は特に決まってなく、越冬して春に産卵することが多いようです
    4. 湿気の多い半地下室では長期間扉を閉めている時は、電気の食わないパイプファンで換気

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