ホウ酸塩は天然に産出する鉱物で、特性を生かし広く商業的に利用されています。酸素とホウ素崖都合したものです。ホウ酸塩はハンドソープや洗剤、コンタクトレンズのクリーナー、洗顔液、化粧品、セラミックス、医薬品などに使用されており、ホウ素を補不足を補うサプリメントも販売されています。
又、二次的な利用として、キャビアの防腐兼酸化防止剤や、金属潤滑液・冷却水・空調システムの添加剤ならびに、鉛・水銀・ホルムアルデヒドに代わる缶入り塗料用防腐剤が挙げられます。
● 家庭での利用例
- ホウ酸だんご
- ゴキブリ退治に昔から家庭で使用されているホウ酸団子ですが、タマネギなどを混ぜて各家庭で自作されてきましたが、安いものでは100円からホウ酸団子が販売されています。
- 目の消毒
- これも昔から使用されており、ものもらいや結膜炎の時に、少量のホウ酸と精製水と混ぜホウ酸水を作り洗浄します。
- 豆乳ローションの保存に
- 雑菌の繁殖が抑えられ、冷蔵庫で1ヶ月保存できる。
● 農業・林業での利用例
- 農業の肥料
- ホウ素は野菜や果実の生育には欠かせないもので、年間6万トンの肥料が世界で使用されており、毎年4%のペース出増加しています。
- 病害に対する抵抗性や克服の面でホウ酸が使用されており、毒性が非常に強い黒穂病菌による大麦に起こる麦角病や、キャベツの根こぶ病がホウ素肥料で減少するという恩恵は、ホウ素の直接的な静真菌性効果と思われます。
- 林業では樹木の病気予防
- 針葉樹の「Formes病」の制御に、ホウ酸塩の微粉を切り株面に徹くか水溶液を自動伐採機で散布。
「Formes病」はキノコ状の子実体から遠方まで撒き散らす真菌の胞子が原因で、間伐や皆伐で生じる切り株面から感染し、根と根の接触を通じ木々に感染していきます。
- 針葉樹の「Formes病」の制御に、ホウ酸塩の微粉を切り株面に徹くか水溶液を自動伐採機で散布。
● 建材での利用例
ホウ酸は防腐防蟻剤以外に最近急速に建材などに使用され、現在木材の難燃化や住宅用の各種断熱材にも使用されており、各建材の用途以外の効果を補足としてコマーシャルポイントとして利用しており、これから新たな使用方法を含め需要の増える建材として活用されて行くことが予想されます。- セルロースファイバー断熱材
- セルロースファイバー断熱材は新聞紙・段ボール・木材などの原料のいずれかを主として造られる木質系断熱材で、原料が木質繊維を使用し自然素材のエコな断熱材です。
製造方法として原料を細かく粉砕し、ホウ素系薬剤を添加し造られているため、難燃処理され万一、火災にあったとしても延焼を防ぎ、有毒ガスの発生がなく、又、木質繊維が持つ吸放湿性の効果でカビや菌の発生を防止、害虫に対しても効果があります。
- セルロースファイバー断熱材は新聞紙・段ボール・木材などの原料のいずれかを主として造られる木質系断熱材で、原料が木質繊維を使用し自然素材のエコな断熱材です。
- 不燃/準不燃木材
- 木材にホウ酸と添加剤を加圧注入し、不燃材や準不燃材として国土交通大臣認定番号を取得するメーカーが増え、内外装に使用する板材をはじめ、丸太や、合板下地材まで製造されているため、内装制限を要求される建物に無垢の木材を使用することができ、建築デザインの巾が広がり、又、ホウ酸が安価なため、低価格で材料を入手できるようにもなりました。
● 原発の事故の収拾に
- ホウ酸には核分裂の際に生じる中性子を吸収する性質を持ち、原子炉の温度を下げる機能があり、福島第一原発の事故の収拾に、ホウ酸を添加した海水の注入や粉末を原発の上部から建屋内にある核燃料棒の貯蔵プールに投入などホウ酸が使用が検討され、急遽外国から調達される。
使用するホウ酸が日本にないためか、韓国から53トン、フランスから100トン余り運ばれる予定で、原子力発電の保有数が54基と世界で3番目に多い日本としてはお粗末である。目的は異なるが木材のホウ酸利用が増えれば日本でのホウ酸備蓄を増やすことにつながると思われる。
2012/03/22
● 名器ストラデイバリウスにも使用
- ストラディバリウスの黄金期の1700~1720年ごろに製作された多くのバイオリンは劣化が進み、ストラデイバリウスだけが現在数多く残っているのかをアメリカの生物学者が分析し、使われている木材にホウ砂を含む科学物質が含まれていることが発見され、ホウ砂を木材保存剤として滲み込ませてたものと推定されています。
- 偶然ですが、ストラディバリウスに使われていた木材と同じ(ドイツトウヒ)で樹のオカリナをつくりました。