ホノルルの建築現場
● ニュージーランド
- ニュージーランドの気候は、日本の多くの地域とおなじ多雨多湿が特長で、1940年には研究者たちによりホウ酸処理が住宅向けラジアータパインに効果的な経済処理方法であることを見出した。
- 1953年、木材保存局は、法律で義務付けられたヒラタキクイムシの食害を受けやすい保護する選択の一つとしてホウ素処理を認定した。
- 1990年代に、人工乾燥材の使用が認められ、保存処理が不要になったが、5年も経たないうちに雨漏り問題が発生しその結果木材保存未処理材を使用した新築住宅に腐敗菌による厳しい劣化を受けたため、新しい住宅建設仕様に再び保存処理の選択が好ましいこととなり、ニュージーランドの住宅建設では、ホウ素処理が枠組工法の主要な保存処理法となっている。
- 阪神淡路地震では多くの既存木造住宅の土台が腐食やシロアリ被害に遭い劣化 していたため倒壊(全壊率93%)したが、70年前からホウ酸塩を使用しているニュージーランドで2011年2月22日に発生したクライストチャーチ市の直下型地震では、市の中央部の植民地時代の古い教会や、古いずさんなビルが倒壊したが、住宅ではラジアータパイン構造材にホウ酸塩処理した平屋建が多く、被害は無かったようです。
● アメリカにおける枠組工法のホウ素処理
- ハワイ
- ハワイでは常夏の気候と熱帯の環境のため、100年以上にわたり木造住宅を荒らし回った外来害虫の台湾地下シロアリ(イエシロアリ)にもよい環境となっており、ハワイの建築法では木造住宅をシロアリから積極的に保護する作戦を義務づけており、保存処理した木質建材が使用されている。ホウ酸塩処理枠組み材は、1992年に導入され、2年で90%の市場占有率を達成した。
- ホウ酸塩処理木材は費用対効果や保護機能、使いやすさに優れ、ハワイの木材市場を独占する米松に対する浸透性に効果があるため、これまでに数千戸のホウ酸塩処理木材住宅が建設され、適切に処理された住宅では保護機能が不十分だった報告は1件もない。
- カリフォルニア。
- ハワイ同様、カリフォルニアの住宅でも米松が多く使用され、ホウ酸塩の木材内部に拡散する性質を利用して完全に浸透できるようになった。
- ホウ酸塩処理土台は、1995年にカリフォルニアに導入されたが、近年ではワシントン州、オレゴン州を含めアメリカ西部で広く使用されるようになった。
● その他の地域
2004年にアメリカやカナダでCCA※が規制されると、北アメリカ全土でホウ酸塩木材保存剤が土台の処理に好んで使用されるようになり、今日、ホウ酸塩処理土台は、市場で80%以上のシェアーを占めている。
又、工業用ティンボアは、サザンイエローパイン、SPF(スプルス、パイン、ファー)を含む多くの樹種に使用されている。
- ニュージーランド
- 1953年 ヒラタキクイムシの食害を受けやすい保護する選択の一つとしてホウ素処理を認定
- アメリカ
- アメリカでは、ホウ酸塩処理木材は、土台を含めIBC、IRC、建築法規に準拠した評価報告書、各州及び地域の建築法で認定
※IBC(International Building Cood)
※IRC(International Residential Cood) - アメリカ木材保存協会(AWPA)ホウ酸塩処理土台使用を認定
- DOTは、「Timbor Professional」という商品名で、専門の害虫駆除業者が使用するシロアリ駆除剤、害虫駆除剤としてアメリカ環境保護局(EPA)に登録されている。
- アメリカでは、ホウ酸塩処理木材は、土台を含めIBC、IRC、建築法規に準拠した評価報告書、各州及び地域の建築法で認定
● 日本の現場
- 日本
- 2008年2月 ホウ酸塩木材保存剤ティンボアが日本工業JIS K1571:2004付属書により認定
- 2008年2月 加圧注入方式を日本木材保存協会が認定
- 2011年9月 表面処理用防腐・防蟻剤として日本材保存協会が認定
● 日本ではこんなところでもホウ酸塩が使用されています。
- ホウ酸塩の最大の用途はガラス原料で、総需要の50パーセントを占め、洗剤、肥料、セルロース断熱材用難燃剤、釉(うわぐすり)と使用用途が続きます。
- 身近な用途では、目薬、化粧品の防腐剤、食品保存剤としても使われ、特殊な用途として半導体やセラミックス、原子炉事故の際の中性子吸収剤があります。
- 肥料としては年間2000~3000トンのホウ砂が消費されています。
- 以前、ホウ酸塩は木材防虫処理に大量に使用されていました。最盛期は、1980年代の半ばで、年間40万立米のラワン材がホウ酸塩処理されています。